厚岸 立秋|北海道産ミズナラ樽が開く、二十四節気シリーズ最終章

厚岸「立秋」で注目したいのは、北海道産ミズナラ樽をキーモルトに使っていることだけではありません。

2020年の「寒露」から続いた厚岸蒸溜所の二十四節気シリーズ。その第20弾として2025年8月に登場した「立秋」は、蒸溜所自身が“最終章のオープニング”と位置づけた一本です。

シリーズ初期には3年熟成の原酒が中心だった厚岸も、この「立秋」では樽構成上の熟成年数が3〜5年へ。

蒸溜所が積み重ねてきた時間そのものが、少しずつウイスキーの表情に現れ始めた時期でもあります。

第20弾「立秋」は、最終章の入口だった

厚岸蒸溜所の二十四節気シリーズは、一年を24の季節に分ける日本の暦「二十四節気」を、それぞれ一本のウイスキーに重ねてきたシリーズです。

第一弾は2020年の「寒露」。その後、雨水、芒種、処暑、立冬と季節を辿りながら、シングルモルトやブレンデッドを発表してきました。

2025年8月に発売された「立秋」は、その第20弾

立秋とは、暦の上で秋が始まる頃を指します。まだ夏の気配が残る時期でありながら、少しずつ季節が次へ向かい始める節目です。

厚岸がこの名前を選んだ一本を、シリーズの最終章の入口に置いたことにも意味があります。

終わりに近づくシリーズでありながら、味わいは次の厚岸を予感させる。

「立秋」は、そんな位置にあるウイスキーです。

キーモルトは、北海道産ミズナラ樽の原酒

「立秋」で最も特徴的なのが、北海道産ミズナラ樽の原酒をキーモルトに採用していることです。

ミズナラは、日本のウイスキーを語るうえで象徴的なオークのひとつ。

ただし、厚岸「立秋」の魅力は「ミズナラだから香木のような香りがする」と単純に説明できるものではありません。

公式テイスティングノートに並ぶのは、桃や杏のコンポート、バニラ、黒蜜、干し柿。そして焚き火のようなやわらかな煙香です。

そこにレモンケーキやオレンジマカロンを思わせる軽やかな酸味が重なり、最後は黒胡椒、生姜醤油、レモンキャンディへと続いていきます。

甘さ、柑橘、ピート、旨味のある辛さ。

一つの要素だけを強調するのではなく、それらが順番に現れるところに「立秋」らしい表情があります。

3〜5年という熟成に見える、厚岸の時間

厚岸の二十四節気シリーズを時系列で見ていくと、もう一つ興味深い変化があります。

第一弾「寒露」の樽構成資料では熟成年数は3年。

一方、「立秋」では3〜5年の原酒が使われています。

厚岸蒸溜所は2016年に蒸留を開始した若い蒸溜所です。

だからこそ、シリーズが進むこと自体が、蒸溜所に蓄積される原酒の時間が伸びていくことでもありました。

同じ「厚岸モルト」であっても、選べる熟成年数や樽の幅は少しずつ広がっていく。

「立秋」は、一本のウイスキーであると同時に、厚岸蒸溜所が約10年をかけて積み上げてきた原酒の現在地でもあります。

柔らかなピートと、和の柑橘へ

厚岸ウイスキーを特徴づける要素のひとつが、ピートです。

「立秋」のフェノール値は、公式資料ではミディアム

強烈な煙だけを前に出すタイプではなく、蒸溜所自身が表現する通り、熟成を重ねたモルトに柔らかなピート感を纏った柑橘香が重なります。

桃や杏の甘さから始まり、レモン、オレンジ、黒胡椒、生姜へ。

夏から秋へ少しずつ空気が変わる「立秋」という言葉と同じように、香味も一方向ではなく、ゆっくりと表情を変えていきます。

二十四節気を追いかけた先にある一本

二十四節気シリーズは、2026年8月発売の「秋分」で全24作を完結しました。

振り返れば、「立秋」はその最後の5作へ向かう最初の一本でした。

北海道産ミズナラ樽の原酒をキーモルトに選び、3〜5年熟成の厚岸モルトを組み上げる。

季節を名前にしたシリーズの中で、「立秋」は厚岸が積み重ねてきた時間を味わう一本でもあります。


厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー 立秋

日本・北海道|厚岸蒸溜所|シングルモルトジャパニーズウイスキー|55%|700ml|2025年8月発売|二十四節気シリーズ第20弾

北海道産ミズナラ樽の原酒をキーモルトに使用。樽構成上の熟成年数は3〜5年、フェノールはミディアム。桃や杏、黒蜜、やわらかな煙香から、レモンやオレンジ、黒胡椒、生姜を思わせる表情へと続くシングルモルトです。

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