
余市10年|7年ぶりに戻った熟成年数表記と、石炭直火蒸溜
余市に、熟成年数を記したボトルが戻ってきたのは2022年。
2015年以来、実に7年ぶりでした。
その一本が、シングルモルト余市10年です。
10年以上熟成した余市モルトだけを使い、余市らしいピート、重厚なコク、果実の甘さをより深く引き出したエイジング商品。
年数が増えたから穏やかになるのではなく、10年という時間を経ても、余市らしい力強さが残っている。
そこに、このウイスキーの面白さがあります。

2022年、7年ぶりに戻った「10年」
シングルモルト余市10年が発売されたのは2022年。
ニッカウヰスキーにとって、熟成年数を表記した余市のエイジング商品は2015年以来7年ぶりでした。
復活時は北海道で先行発売され、その後全国で数量限定販売。国内向けは年間9,000本と発表されています。
長期熟成原酒の確保が必要な年数表記商品は、造りたいと思った時にすぐ増やせるものではありません。
「10年」という数字は、少なくとも10年前から原酒を残し、育て続けてきた時間そのものでもあります。
10年以上熟成しても消えない、余市の力強さ
余市10年に使われるのは、10年以上熟成したモルト原酒。
ニッカ公式のテイスティングノートでは、熟したバナナを思わせる甘い果実香と樽香、力強く複雑なモルト香が挙げられています。
口に含むと、洋梨のようなフルーティーさに、燻製を思わせるピーティーな味わい。
余韻には、奥深いコクとピートの香ばしさが長く残ります。
熟成による丸みや果実の甘さを得ながらも、余市らしいピートと重厚さは失われていません。
時間によって個性を薄めるのではなく、むしろ輪郭を深くしていく。
余市10年は、そんな熟成の方向性を見ることができる一本です。
1000℃を超える、石炭直火蒸溜
余市の個性を語るうえで欠かせないのが、現在では世界的にも珍しくなった石炭直火蒸溜です。
余市蒸溜所では、職人がポットスチルの下へ直接石炭をくべ、火力を調整しながら蒸溜を行います。
ポットスチルの底部は1000℃を超える高温。
適度な焦げが生まれることで、余市モルト特有の香ばしさと複雑さにつながります。
さらに、余市のポットスチルはストレートヘッド型で、ラインアームは下向き。
竹鶴政孝がスコットランドで学んだロングモーン蒸溜所と同じ考え方を受け継ぎ、香味成分を多く残した、力強く豊かな原酒を生み出します。
竹鶴政孝が1934年に選んだ、北海道・余市
余市蒸溜所が完成したのは1934年。
「日本で本物のウイスキーをつくる」という思いを持った竹鶴政孝が、スコットランドに似た冷涼な気候を求めて選んだ土地でした。
余市川の水、寒冷な気候、石狩湾から吹く海風。
さらに当時は、麦芽を乾燥させるピートや蒸溜に使う石炭も北海道で確保できました。
蒸溜方法だけではなく、土地そのものが余市の味わいを形づくっています。
「10年」を味わうということ
年数表記のあるウイスキーでは、数字そのものに目が向きがちです。
けれど余市10年で見たいのは、単に10年以上熟成したという事実だけではありません。
石炭直火蒸溜から生まれた力強い原酒が、10年以上の時間を経ることでどう変化するのか。
果実の甘さが増し、樽香が重なり、それでもピートと香ばしさは残る。
余市らしさと熟成。その両方を同時に見ることができるのが、余市10年です。
シングルモルト余市10年
日本・北海道|余市蒸溜所|シングルモルト ジャパニーズウイスキー|10年以上熟成|700ml|アルコール度数45%
10年以上熟成した余市モルトを使用。熟したバナナや洋梨を思わせる果実香、力強いピート、燻製のような香ばしさ、長く続く重厚な余韻を備えたシングルモルトです。
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