ジャッキー・トルショー モレ・サン・ドニ 2003|猛暑の年に残した、引退前の一本

2003年、ブルゴーニュは歴史的な猛暑に見舞われました。

異例の暑さと日照によって収穫は極めて早まり、ブルゴーニュ全体の収量も平年を大きく下回った年。

その2003年に、モレ・サン・ドニでジャッキー・トルショーが仕込んだ一本が、今回のMorey-Saint-Denis 2003です。

トルショーが現役を退いたのは、そのわずか2年後の2005年。

猛暑による凝縮感が生まれた年と、繊細で古典的な造りを貫いた生産者。

この二つが重なっているところに、2003年のトルショーを見る面白さがあります。

2003年、ブルゴーニュを襲った歴史的な猛暑

2003年は、ヨーロッパ全体が記録的な熱波に覆われた年でした。

ブルゴーニュワイン委員会も、このヴィンテージを「heat-wave vintage」と記録しています。

極端に暑く晴れた天候によってブドウは急速に成熟し、収穫は例年より大幅に早く開始。収量は直近5年間の平均と比べて約25%少なくなりました。

出来上がった赤ワインには、熟した赤・黒系果実、豊かな凝縮感、丸みのあるタンニンといった2003年らしい特徴が現れています。

通常のブルゴーニュとは少し異なる条件から生まれた、非常に個性の強いヴィンテージです。

「何もしすぎない」ジャッキー・トルショーのワイン造り

ジャッキー・トルショーのワインは、現在ではブルゴーニュのコレクターから高い関心を集めています。

しかし、本人の造りは華美なものではありませんでした。

冷却浸漬や培養酵母、酵素に頼らず、清澄や濾過も行わない。新樽の使用も控えめ。

評価誌Burghoundは、トルショーのスタイルを「older timesへの回帰を思わせる造り」として紹介し、飾り気のないピノ・ノワールの純粋な香りと味わいを高く評価していました。

強さを加えるのではなく、ブドウと畑の表情をできるだけそのまま残す。

だからこそ、豊かさが前に出やすい2003年に、トルショーがどのようなバランスを残したのかが興味深くなります。

モレ・サン・ドニを拠点に、26ヴィンテージ

ジャッキー・トルショーは、モレ・サン・ドニにあった親族アンリ・モフレのドメーヌで長年ワイン造りを学び、1978年にその畑を引き継ぎました。

ドメーヌ名の「Truchot-Martin」のMartinは、妻リリアーヌの旧姓に由来します。

所有畑はモレ・サン・ドニを中心に、ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニーにも広がり、Clos de la RocheやCharmes-Chambertinといったグラン・クリュも手がけていました。

そして2005年ヴィンテージを最後に引退。

多くの畑は売却され、ドメーヌとしての市販ワイン造りは終わります。

1978年から2005年まで、トルショーがドメーヌを率いて仕込んだのは26ヴィンテージ。

2003年は、その最後から3番目にあたるヴィンテージです。

グラン・クリュではなく、「モレ・サン・ドニ」を味わう

今回の一本は、トルショーのClos de la Rocheのようなグラン・クリュではなく、村名アペラシオンのMorey-Saint-Denis

モレ・サン・ドニは、北にジュヴレ・シャンベルタン、南にシャンボール・ミュジニーを挟むコート・ド・ニュイの小さな村です。

力強さと繊細さ、その両方を感じさせるピノ・ノワールを生む土地として評価されてきました。

トルショーのワインも、濃さや樽の強さで存在感をつくるタイプではなく、香りの純度や細かなニュアンスに魅力があると評されてきました。

村名ワインだからこそ、著名な畑名ではなく、「トルショーが造ったモレ・サン・ドニ」そのものに向き合える一本とも言えます。

2005年で止まった時間を、2003年のボトルから

トルショーの引退後、残されたボトルの数は増えることがありません。

そのため現在では、グラン・クリュだけでなく村名ワインまで国際的なオークションやコレクター市場で取引されるようになっています。

ただ、この2003年を見る面白さは希少性だけではありません。

歴史的な猛暑だったブルゴーニュ。

時代が変わっても伝統的な造りを大きく変えなかったトルショー。

そして、その2年後に訪れた引退。

二度と新しく造られることのないドメーヌの時間が、一本のワインとして残っています。


ジャッキー・トルショー モレ・サン・ドニ 2003 / Jacky Truchot Morey-Saint-Denis 2003

フランス・ブルゴーニュ|コート・ド・ニュイ|モレ・サン・ドニ|赤ワイン|ピノ・ノワール|2003年|750ml

歴史的な猛暑となった2003年に仕込まれた、ジャッキー・トルショーのモレ・サン・ドニ。トルショーは2005年ヴィンテージを最後に引退しており、ドメーヌ現役期の終盤に位置する一本です。

今未でのお取り扱いについて

今未は、ワイン・ウイスキー・日本酒などの酒類と、江戸切子をはじめとする日本の酒器を取り扱う専門店です。造り手の技術や背景とともに、価値ある酒と酒器をご紹介しています。

店舗での商品取扱状況については、今未 銀座店今未 心斎橋店の店頭、またはお問い合わせよりご確認ください。
※商品によって取扱店舗・在庫状況が異なります。

今後の入荷情報は、公式Instagram @imami__japanNEWS一覧でお知らせしています。