
シャトー・ラヤス 2011|石ではなく砂、100%グルナッシュのシャトーヌフ
シャトーヌフ・デュ・パプといえば、丸い大石「ガレ・ルレ」を思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし、シャトー・ラヤス 2011が生まれる畑は、その典型とは大きく異なります。
森に囲まれた約10haの畑、非常に砂質で痩せた土壌、北向きの区画、そしてグルナッシュ100%。力強さではなく、淡い色調、香りの細やかさ、しなやかな質感を引き出すことが、ラヤスの個性です。
シャトーヌフ・デュ・パプなのに、大石ではなく「砂」

シャトー・ラヤスの公式サイトは、畑を「森の中に離れて存在する、約10haの小さなドメーヌ」と説明しています。
土壌は非常に砂質で痩せており、この軽い砂質土壌が、ラヤスのワインに繊細さを与える重要な要素です。
シャトーヌフ・デュ・パプでは、熱を蓄える大きな丸石「ガレ・ルレ」の畑が象徴的ですが、ラヤスはその対極にあります。砂は熱を強く蓄えにくく、さらに森の木陰や空気の流れ、北向きの区画が成熟をゆっくり進めます。
そのため、同じグルナッシュでも、重厚さよりも透明感や香りの細やかさが前に出やすいのがラヤスです。
100%グルナッシュという、極端な選択
シャトー・ラヤスの赤は、公式にグルナッシュ100%。
シャトーヌフ・デュ・パプでは複数品種の使用が認められており、多くの生産者がグルナッシュにシラーやムールヴェードルなどを組み合わせます。
それに対してラヤスは、グルナッシュだけで一本を構成します。
収量は非常に低く抑えられ、収穫も遅い時期まで待つことで知られます。砂地でゆっくり熟したグルナッシュを、別品種の骨格で補強するのではなく、そのまま一つのワインとして成立させることが、このシャトーの大きな特徴です。
全房発酵と古い大樽
ラヤスでは、ブドウを房ごと発酵させる全房発酵が用いられています。
全房発酵とは、果梗を完全に取り除かず、ブドウの房全体を発酵槽へ入れる方法です。果実だけでなく、果梗由来の香りや質感もワインに加わります。
抽出は穏やかに行われ、熟成には新樽ではなく、使い込まれた大容量の木樽を使用。
樽の香りを強く付けるのではなく、砂質土壌のグルナッシュが持つ果実と香りをそのまま残すための方法です。
2011年は、「力」より「しなやかさ」が見えやすい年
2011年の南ローヌは、2010年のような強い骨格を持つヴィンテージではなく、全体としてより早く開きやすい年と評価されています。
その一方で、ラヤス2011にはこのシャトーらしい個性がはっきり残っています。
2023年のテイスティングでは、甘やかでしなやかな口当たり、きめ細かなタンニン、穏やかなフレッシュさが指摘されました。
もともと「力強いシャトーヌフ」ではなく、淡さ、香り、しなやかさで見せるラヤス。その意味で2011年は、このワインの方向性を理解しやすいヴィンテージのひとつです。
1880年から続くレイノー家、1997年からエマニュエル・レイノーへ
レイノー家がこの地でワイン造りを始めたのは1880年。
現在のシャトー・ラヤスにつながる歴史は、アルベール・レイノー、ルイ・レイノー、ジャック・レイノーへと受け継がれてきました。
1997年、ジャック・レイノーの死去後、甥のエマニュエル・レイノーがラヤス、フォン・サレット、デ・トゥールの3つのドメーヌを引き継ぎ、現在まで運営しています。
ラヤス2011は、そのエマニュエル・レイノーの時代に造られた一本です。
シャトー・ラヤス 2011
フランス|ローヌ|シャトーヌフ・デュ・パプ|赤ワイン|グルナッシュ100%|2011年
森に囲まれた砂質土壌、北向きの区画、グルナッシュ100%、全房発酵、古い大樽。シャトーヌフ・デュ・パプの典型から距離を置きながら、繊細さと香りの深さを追求するシャトー・ラヤス。その個性が、よりしなやかな2011年の中に表れています。
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