小林硝子工芸所 Uno glass「彩雲8078」|重力で生地からつくる、一点物の江戸切子

切子を施す前の「ガラス生地」から、職人自身がつくる。

小林硝子工芸所 Uno glass「彩雲8078」は、4代目・小林昂平氏が考案したオリジナル技法「サギング切子」による一点物の江戸切子です。

板ガラスを電気炉で熱し、型へ押し込むのではなく、重力によってゆっくりと落としながら器の形をつくる。そこから切子を施し、一客のグラスとして仕上げます。

「生地を買って削る」だけではないUno glass

Unoシリーズの大きな特徴は、完成したガラス器にカットを施すところから始まるのではなく、ガラス生地そのものの制作から小林昂平氏が手がけることです。

小林氏が用いる「サギング」は、丸い穴の開いた板状の型の上に板ガラスを置き、電気炉で加熱する技法です。

熱によって柔らかくなったガラスは、穴から下へと落ちていきます。その際、下側に器の形を決める型を置かず、重力だけを頼りに形を成型していきます。

温度が低ければ十分に落ちず、高ければ落ちすぎる。理想の形に止めるには、わずかな温度差と時間を見極める必要があります。

サギングと切子を組み合わせた「サギング切子」

小林昂平氏は、このサギングと江戸切子のカット技術を組み合わせた独自の技法を「サギング切子」と名付けています。

一般的な均整の取れたグラスとは異なり、重力によって生まれたわずかな揺らぎや個体差が器の輪郭に残ります。

そこへ切子を加えることで、規則性のあるカットと、手づくりの生地が持つ不均一さが一つの器の中に共存します。

完成までにかかる時間は、数日から約1週間。Unoは同じ型番を大量に再現するシリーズではなく、一客ごとの違いを前提とした一点物です。

「彩雲」を、数種類の色ガラスで表現する

作品名の「彩雲」とは、雲が虹色に見える自然現象のこと。

太陽の光が雲の中の細かな粒を通る際に曲げられたり散乱したりすることで、淡い虹色が雲を彩ります。

Uno glassの「彩雲」では、数種類の色ガラスを重ね、その光の屈折を利用して、見る角度によって色彩が変化する表情をつくります。

表面へ色を描くのではなく、ガラスそのものの内部に色の層をつくり、光が通ることで初めて色の重なりが現れる。その点が、この作品の見どころです。

「8078」は、その一客の寸法を表す

Uno glassの作品名に付く数字には意味があります。

小林硝子工芸所では、数字をグラスの高さと口径として表記しています。

したがって「8078」は、高さ約80mm・口径約78mmを表す名称です。

量産品の品番ではなく、その作品の形そのものを記録する数字。ひとつひとつ形が異なるUnoシリーズらしい命名方法です。

1908年から4代、受け継いだ技術の先で

小林硝子工芸所の始まりは1908年。

初代・小林菊一郎氏が、江戸切子職人の大橋徳松氏へ弟子入りしたことから始まり、英夫氏、淑郎氏、そして昂平氏へと4代にわたり技術が受け継がれてきました。

4代目の小林昂平氏は2010年に父・淑郎氏へ師事。日本伝統工芸展や現代ガラス展への入選・受賞を重ね、2023年には日本工芸会正会員となっています。

伝統的な切子技術を継承しながら、生地づくりそのものへ踏み込み、新しい器の形を探す。Uno glassは、その姿勢が最も直接的に表れたシリーズの一つです。

小林硝子工芸所 Uno glass「彩雲8078」

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重力によってガラス生地の形をつくり、そこへ切子を施す「サギング切子」。数種類の色ガラスを通る光で彩雲のような色彩を表現し、生地づくりから完成まで一人の職人が手がける一点物です。

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