
ルイ・ロデレール クリスタル 2000|雨と雹の年から生まれた、成熟のクリスタル
2000年のシャンパーニュは、決して順風満帆な年ではありませんでした。
雨が多く、嵐が続き、7月にはモンターニュ・ド・ランスを激しい雹が襲う。
ルイ・ロデレール自身も、2000年を「混乱が多く、難しく、非常に雨の多い年」と振り返っています。
それでも、この年には「クリスタル」が造られました。
クリスタルは、ルイ・ロデレールがブドウが理想的に成熟した年だけに造るプレステージ・キュヴェ。
難しい条件の中から選び抜かれ、20年以上の時間を経た現在では、果実の豊かさと熟成による複雑さが重なったヴィンテージとして評価されています。
2000年は、簡単には完成しなかった

2000年は、雨や嵐だけでなく、雹や貴腐の影響も受けた難しいヴィンテージでした。
当時のセラーマスター、ジャン=バティスト・レカイヨンは後年、この2000年について、それまで自身がブレンドしたクリスタルの中で最も難しかったと振り返っています。
理由は、アッサンブラージュを決めるまでの間にも、それぞれのワインの表情が変化し続けたから。
天候に恵まれたヴィンテージをそのまま形にするのではなく、変化するワインの中から、クリスタルとして残すものを見極める必要があった年でした。
結果として生まれた2000年は、力だけで押すタイプではありません。
ルイ・ロデレールの記録では、なめらかで豊か、それでいてエレガントで精密なスタイル。
難しい年だったからこそ、完成したワインには選別とブレンドの判断がより強く表れています。
1876年、ロシア皇帝のために生まれた「透明なボトル」
ルイ・ロデレールの歴史は1876年に遡ります。
ロシア皇帝アレクサンドル2世の特別な要望を受け、ルイ・ロデレールが専用のシャンパーニュを造ったことが始まりです。
そのために用意されたのが、現在まで続く透明で底の平らなボトル。
ロデレール公式では、暗殺を恐れていた皇帝がボトル内部に何かを隠せないよう、この形を求めたという逸話も紹介されています。
そして「Cristal」という名前も、この透明なクリスタル製ボトルに由来します。
現在でもクリスタルが透明なボトルに入れられている一方、光からワインを守るためにオレンジ色のセロファンで包まれています。
デザインのためだけではなく、1876年から続くボトルを守りながら使い続けるための仕様です。
20年以上を経て見えてくる2000年
若いクリスタルには、強い酸や緊張感、ミネラルの輪郭が前面に出ることがあります。
2000年はすでに収穫から25年以上。
現在では、その骨格に熟成による香りが重なり始めています。
近年のテイスティングでは、
熟したリンゴ、
ブリオッシュ、
蜂蜜、
ヘーゼルナッツ、
アプリコット、
ヨードや塩味
といった要素が記録されています。
ルイ・ロデレールも、現在のCristal 2000について十分な成熟期に達している一方、適切な環境であればさらに熟成させることも可能としています。
つまり2000年は、若いクリスタルの緊張感だけではなく、時間によって生まれる厚みや複雑さまで見られる段階にあります。
難しい年だったからこそ残った一本
1876年に生まれたクリスタルは、すべての年に造られるシャンパーニュではありません。
2000年も、決して分かりやすい「理想の年」ではありませんでした。
雨。
嵐。
雹。
そして、ブレンドする直前まで変化を続けたワイン。
それでもルイ・ロデレールは、その年の中にクリスタルとして残す価値を見出しました。
ヴィンテージの魅力は、天候が完璧だったかどうかだけでは決まりません。
難しい条件をどう選び、どう一本にまとめたのか。
25年以上の時間を経たクリスタル 2000には、その年の判断まで残されています。
ルイ・ロデレール クリスタル 2000 / Louis Roederer Cristal 2000
フランス・シャンパーニュ|ヴィンテージ・シャンパーニュ|2000年|750ml
ピノ・ノワール 55%|シャルドネ 45%
雨や雹に見舞われた難しい2000年から造られたクリスタル。熟した果実の豊かさと繊細さを持ち、長期熟成によってブリオッシュやナッツ、塩味を伴う複雑な表情へと変化しているヴィンテージです。
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