
マッセート 2019|初めてカベルネ・フランを加えた転換点
1986年の初ヴィンテージ以来、マッセートは「メルロー100%」のワインとして歩んできました。
その歴史が、2019年に初めて変わります。
マッセート 2019は、メルロー90%にカベルネ・フラン10%を加えた、マッセート史上初のブレンドヴィンテージ。さらに、2019年に完成した専用ワイナリーで醸造された最初のヴィンテージでもあります。
初めて加わった、10%のカベルネ・フラン

マッセートは、トスカーナ沿岸のボルゲリで生まれる赤ワインです。
長年、その象徴となってきたのはメルロー100%という構成でした。ところが2019年、初めて最終ブレンドにカベルネ・フランを採用。比率はメルロー90%、カベルネ・フラン10%です。
ワインディレクターを務めたアクセル・ハインツは、カベルネ・フランが香りの複雑さを加えられる品種であることを語っています。
つまり2019年は、これまでのマッセートを否定した年ではなく、メルローを中心とした個性に、新しい要素を初めて組み込んだ転換点と見ることができます。
9月5日から10月1日まで、2品種を別々に収穫
2019年は、春の寒さと雨、夏の高温と乾燥が交互に訪れた年でした。
4月と5月の低温と雨で生育は遅れ、6月末には最高37℃まで上昇。夏には平均を2℃上回る暑さと、45日連続で雨が降らない期間が続きました。
その後、7月末と9月初旬の雨が成熟を整え、メルローは9月5日から20日にかけて収穫。最後にカベルネ・フランが10月1日に収穫されています。
早熟なメルローと、より遅く成熟するカベルネ・フラン。2019年は、二つの品種がそれぞれ異なるタイミングで成熟したことが、そのまま最終ブレンドへつながっています。
海の光と、鮮新世の青色粘土
マッセートを語るうえで欠かせないのが、畑の地下に広がる鮮新世の青色粘土です。
この粘土層は、かつて海辺の湿地だった地層が長い時間をかけて変化したもの。塩分や海洋生物の痕跡を含み、水分を保持してゆっくりと放出する性質があります。
そのため、乾燥した夏でもブドウの根へ水分を供給しやすく、海から届く風やティレニア海の反射光とともに、果実の成熟を支えます。
2019年のように長い乾燥が続いた年に、この土壌が果たした役割は小さくありません。
100%新樽で24か月、その後さらに瓶内で12か月
収穫されたブドウは15kgの小箱で運ばれ、除梗の前後に二度の選果を実施。その後、やさしく破砕されます。
発酵の大部分はコンクリートタンクで行われ、一部の小区画は樽で発酵。醸し期間は21〜28日です。
マロラクティック発酵は100%新樽で開始し、各区画のワインを12か月間別々に熟成。その後ブレンドし、再び樽へ戻してさらに12か月。
樽熟成は合計24か月。瓶詰め後もさらに12か月熟成させてから市場へ送り出されました。
2019年、マッセートは専用ワイナリーを持った
2019年は、ワインの中身だけでなく、マッセートというエステート自体にとっても節目の年です。
この年、マッセート専用のワイナリーが完成。地下へ埋め込むように設計された建物は、ポンプを使わず重力でワインを移動できる構造を持ち、区画ごとの原酒をより細かく管理できるようにつくられています。
2019は、この新しい専用ワイナリーで最初から最後まで醸造された初のマッセートでもあります。
初のカベルネ・フラン採用と、専用ワイナリーでの初醸造。2019年は、マッセートの歴史に二つの「初めて」が重なったヴィンテージです。
チェリー、スミレ、リコリス、ダークチョコレート
公式テイスティングノートでは、熟したチェリー、スミレ、リコリス、ダークチョコレートの香り。
口に含むと幅広く濃密で、タンニンはベルベットのようになめらか。力強さを持ちながら、余韻にはフレッシュさと躍動感が残るとされています。
凝縮感とエレガンス。その二つを同時に成立させることが、2019年のマッセートを理解する鍵です。
マッセート 2019
イタリア|トスカーナ|Toscana IGT|赤ワイン|メルロー90%・カベルネ・フラン10%|2019年
長くメルロー100%で造られてきたマッセートに、初めてカベルネ・フラン10%が加わった2019年。専用ワイナリーで完全に醸造された最初のヴィンテージでもあり、マッセートの歴史における明確な転換点となった一本です。
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