
東亜硝子工芸「光華」|クリアと青墨、同じ意匠で変わる光
東亜硝子工芸・鍋谷聰氏の江戸切子「光華」は、細かなカットを重ね、グラスそのものではなく、そこに入る光まで意匠の一部として見せるロックグラスです。
色ガラスを使わないクリアと、深い青黒色の青墨。
同じデザインが、透明と色被せによってどう表情を変えるのかを見ていきます。
2009年、「光華」は江戸切子新作展で受賞
東亜硝子工芸の代表を務める鍋谷聰氏は、2010年に江戸切子の伝統工芸士に認定された職人です。
その前年、2009年の第21回江戸切子新作展では、「光華」と名付けた作品が組合理事長賞を受賞しています。
現在販売される「光華」も、鍋谷氏が長く追求してきた「光」を主役にした作品群のひとつ。東亜硝子工芸は、自らのものづくりについて、ガラスの魅力である光を追求し、正確で滑らかなカットによって多様な光を生み出すことを掲げています。
細かなカットが、光を面ではなく点に変える
『光華』で使われている代表的なカットは、江戸切子の伝統文様『菊つなぎ』です。
大きな面で光を反射するのではなく、小さなカット面の一つひとつが別々の方向へ光を返す。そのため、グラスをわずかに傾けるだけでも、輝く位置が次々に変わります。
ロックグラスの中に酒や氷が入ると、液体や氷の反射も重なり、空の状態とはまた異なる光が現れます。
クリアは、カットそのものを光で見る

クリアは、色被せを使わない透明なクリスタルガラス。
色がない分、視線はカットの深さや交差、屈折そのものへ向かいます。背景の色や置かれた空間を取り込みながら、ガラスの中で光が細かく分散していく様子が見えやすい仕上がりです。
「光華」という作品名の通り、光そのものの変化を最も直接的に見ることができる色です。
青墨は、色と透明の境界で光を見る

青墨は、水墨画に見られる深い墨色を思わせる、黒に近い落ち着いた色調と、ガラスならではの透明感を併せ持つ、江戸切子ならではの特別な色彩です。
表面の色ガラスをカットによって削り、透明なクリスタル層を見せることで、暗い色と透明部分のコントラストが生まれます。
正面から見ると落ち着いた黒色。しかし光がカット面へ入ると、透明部分が鋭く明るく浮かび上がります。
クリアが「光の広がり」を見せるとすれば、青墨は「光と影の境界」をより強く感じさせる。
同じ意匠でも、色の有無によって印象が大きく変わります。
1960年、蒲田で始まった東亜硝子工芸

東亜硝子工芸は、1960年に東京・大田区蒲田で創業したガラス工房です。
創業当初はウイスキーボトルなどの工業カットを手がけ、多くの職人を育成。その後、江戸切子の制作へと活動を広げてきました。
現在は二代目の鍋谷聰氏が代表を務め、伝統工芸としての技法を基礎にしながら、「透明感」と「光」を軸に独自の作品を制作しています。
二つ並べると見えてくる「光華」の設計

クリアと青墨は、別の意匠ではありません。
同じカットを、透明なガラスで見るか、深い色の層を通して見るか。その違いによって、「光華」という一つのデザインが持つ幅が見えてきます。
クリアは周囲の光や色を取り込み、青墨は色と透明のコントラストをつくる。
二客を並べると、江戸切子において「色」は単なる装飾ではなく、カットされた光の見え方そのものを変える要素であることがよく分かります。
東亜硝子工芸 ロックグラス「光華」
江戸切子|東亜硝子工芸|鍋谷聰|クリスタルガラス|ロックグラス|クリア・青墨
2009年の江戸切子新作展で受賞歴を持つ「光華」。細かなカットによって光を分散させる意匠を、クリアでは透明そのものの輝きとして、青墨では深い色と透明部分のコントラストとして楽しめる二つのロックグラスです。
今未でのお取り扱いについて
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