
楯野川 涅槃 2025|亀の尾の親「惣兵衛早生」を18%まで磨く
楯野川 純米大吟醸 涅槃 2025は、庄内に古くから伝わり、一度は姿を消した在来米「惣兵衛早生(そうべえわせ)」を復活させ、18%まで磨いて醸した日本酒です。
しかも、惣兵衛早生は「亀の尾」の親にあたる品種。涅槃は、単に希少な米を使うのではなく、その米の収穫年を「ライスヴィンテージ」として捉え、熟成による変化まで楽しむことを前提につくられています。
亀の尾の親、「惣兵衛早生」を復活させる

惣兵衛早生は、山形県庄内地方に伝わる在来品種です。
現在「幻の酒米」として知られる亀の尾の親にあたりますが、品種改良が進む中で栽培されなくなり、一度は姿を消していました。
楯の川酒造は2017年、山形県内の農業試験場に残されていた1.9kgの種もみを入手。契約農家とともに栽培を続け、3年以上かけて酒造りに必要な収穫量まで増やしました。
現在、この惣兵衛早生を酒造りに使用している酒蔵は、楯の川酒造だけとされています。
希少米を、18%まで磨く
涅槃に使われるのは、惣兵衛早生100%。
その米を精米歩合18%まで磨きます。つまり、玄米の外側を82%削り、中心部の18%だけを酒造りに使用するということです。
一般的な純米大吟醸の基準は精米歩合50%以下。涅槃ではそこからさらに大きく磨き込み、在来米が持つ奥行きを、雑味を抑えた透明感のある酒質へとつなげています。
使用酵母は山形KA。アルコール度数は15度です。
「2025」なのに、米は2023年産
涅槃を理解するうえで重要なのが、楯の川酒造が掲げる「ライスヴィンテージ」という考え方です。
現在の「涅槃 2025」に使われている惣兵衛早生のライスヴィンテージは2023年。
ここでいうライスヴィンテージとは、商品の発売年ではなく、原料米が収穫された年を意味します。
ワインがブドウの収穫年によってヴィンテージを語るように、涅槃では米の収穫年を熟成の起点として捉え、その後の時間による変化を楽しむ設計になっています。
「今が完成」ではなく、これから変わっていく酒
楯の川酒造は、惣兵衛早生を熟成に向いた品種としています。
米が本来持つ奥深い味わいは、時間とともにさらにまろやかになり、複雑さと円熟味を増していくと説明しています。
新酒のフレッシュさを完成形とするのではなく、1年後、2年後にどう変わるかまで含めて一本の価値とする。
「涅槃」というブランドが、日本酒に「熟成」という価値を見出そうとしている理由がここにあります。
穏やかな香り、透明感、そしてしなやかな酸
公式の味わいでは、吟醸香は控えめで穏やか。
口当たりは透明感があり、ほどよいボリュームを持ちながら、しっかりとした芳醇さも感じられます。
そこにしなやかな酸味が重なり、余韻はすっと消えていく構成。
惣兵衛早生の個性を派手な香りや甘さで見せるのではなく、奥ゆかしさと深さ、そして時間による変化で見せる酒です。
ミラノ酒チャレンジで3部門受賞
「涅槃」は、イタリアで開催されたミラノ酒チャレンジにおいて、3部門で受賞しています。
酒テイスティング部門ではプラチナ、デザイン部門ではベストデザイン、フードペアリング部門では白身魚のカルパッチョとの組み合わせが評価されました。
日本酒単体の味わいだけでなく、デザインや食との相性まで含めて評価されたことも、この酒の位置づけを示しています。
楯野川 純米大吟醸 涅槃 2025
日本|山形県酒田市|純米大吟醸|惣兵衛早生100%|精米歩合18%|山形KA酵母|15%|ライスヴィンテージ2023
亀の尾の親にあたる庄内の在来米・惣兵衛早生を復活させ、18%まで磨く。さらに米の収穫年を「ライスヴィンテージ」として捉え、その後の熟成変化まで一本の価値にする。涅槃は、失われた米と未来の時間を同時に扱う日本酒です。
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